税務アフィリエイターの九頭です。
確定申告も無事に終わりましたので税理士試験関係の記事でも書いて見ようかと思います。
質問はヤフー知恵袋から持ってきています
今回答えてみるのはこちらの質問です。
ちなみに法人税法です。
法人税法が多少わかる方に質問です。
交換の圧縮記帳で交換差金を支払った場合ですが、
新取得資産の税務上の取得価額は、「本来の取得価額ー損金算入圧縮額」になると思うのでが、
圧縮限度計算に用いた「譲渡経費」は、本来の取得価額に含めない理由がイマイチ分かりません。
分かりやすい解説をお願いします。
検索キーワード
税理士 法人税 圧縮記帳https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q11203135351?__ysp=5rOV5Lq656iO5rOVIOS6pOaPmw%3D%3D
ベストアンサーはこの回答
譲渡=売る
譲渡経費=売るためにかかった経費
取得原価に足される経費は購入のためにかかった経費です。
性質の違う経費を取得原価に算入するのは間違った処理になります。
この回答で合っているのではないでしょうか?
もちろん、この回答で正解だよ
じゃあ、今回はこれで終わりですね!おつかれさ・・・
ちょっと待った!!
確かにこちらのベストアンサーで全く問題は無いのですが、なぜ譲渡経費を本来の取得価額に含めないのか?をもう少し踏み込んでお答えしてみましょう。
なぜ、もっと踏み込むのでしょうか?
もっと踏み込むことが理解度の向上につながり、それが他の受験生と差をつけるポイントになるからだよ
圧縮記帳の目的
交換に限らず、圧縮記帳の問題を解くときは圧縮記帳の目的を理解しておく必要があります。
圧縮記帳の目的は、課税の繰り延べですね。
今回のいわゆる本法交換の場合には
金銭のやり取りをしていないことから、取得資産の取得価額を譲渡資産の帳簿価額と譲渡経費の合計額を引き継ぐことで課税関係を生じさせず、譲渡資産の譲渡時の課税を繰り延べる、ということがこの規定の趣旨と言えます。
つまり、
・譲渡資産・・・簿価80 時価100
・譲渡経費・・・5
・取得資産・・・時価(本来の取得価額)100
・圧縮限度額・・・100-(80+5)=15
といった場合には
本来は譲渡資産の譲渡によって
という仕訳で15という譲渡益が生じ、15に対して課税がされるはずなのを
簿価と譲渡経費の合計額の85を取得資産の取得価額とすることで課税を繰り延べることを目的にしているのです。
もし、譲渡経費を取得資産の取得価額に含めたら?
先ほどの例で、もし譲渡経費5を取得資産の取得価額に含めたらどうなるのか?
質問にもあるように、新取得資産の税務上の取得価額は、「本来の取得価額ー損金算入圧縮額」ですので、これに譲渡経費5を含めてみましょう。
ちなみに損金算入圧縮額は圧縮限度額の15とします。
本来の取得価額100
譲渡経費5
損金算入圧縮額15
ですので
100+5-15=90となります。
ちなみにこの90の内訳を分解してみると、先ほどの仕訳の
取得土地85に譲渡経費の5を加えたことになりますね。
あれ?そもそも85って譲渡土地と譲渡経費の合計額ではないですか?
そう!つまり90は譲渡経費5が2重に加算されていることになるね
そもそも、「本来の取得価額ー損金算入圧縮額」とありますが
本来の取得価額・・・時価
損金算入圧縮額・・・譲渡益を限度にした金額
ですので、基本的には本来の取得価額ー損金算入圧縮額=譲渡資産の譲渡時の簿価と譲渡経費の合計額です。
先ほどの仕訳を見ていただけると分かりやすいかと思います。
それに更に譲渡経費を加えてしまうと譲渡経費を取得価額に二重計上していることになってしまいます。
そのため、
圧縮記帳を適用した時点で譲渡資産の簿価と譲渡経費の合計額を取得価額として引き継ぐことになるので譲渡経費は既に取得資産の取得価額に含まれている
というのがご質問にあった圧縮限度計算に用いた「譲渡経費」は、本来の取得価額に含めない理由
になります。
最後に
受験生の方々の多くはこの話に関して
回りくどい、細かい話だ
と思ったかもしれませんね。
しかし、合格者のトップ集団はこのくらいの思考レベルで税法を考えているのです。
そして、本法交換の趣旨を理解していれば今回のような疑問が生じても自力で上記の結論にたどり着けるはずです。
実際に今回の回答は、九頭は質問を読んでから2~3分でこの結論まで考えました。
ちなみに受験生の頃はご質問の内容は考えたことがありませんでした。
それでも2~3分で結論が浮かぶのは他の受験生よりもきっちり法律の理解を心がけていたからで、九頭が特別頭が良いわけではありません。
九頭先生が頭良くなったら日本の終わりですね、ぷっ(笑)
金太郎君、後でレスリング部の部室に集まろうか、グレコローマンスタイルでお相手しよう!
税理士試験は他の受験生との勝負の場。
受かるには他の受験生よりもレベルの高い答案を作らなければならない!
ということを意識していただければ合格に近づくのではないかな?と思います。
また、税法関係の質問を見つけたら解説させていただこうと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。