5科目合格者が見た70回税理士試験所得税法の理論の感想

九頭(くず)と申します。

先日行われた第70回税理士試験。
中でも所得税法の理論問題を見て

九頭九頭

ほうほう、これは面白そうだ!

と思ってしまったので、私なりにこの問題を見て感じたことなどを紹介していこうかなと思います。

ちなみにTACの解答速報をベースに感想を述べています。

九頭九頭

まあ、どこの解答速報でも良かったんですが最初に目が入ったのがTACの解答速報だったので

税 金太郎税 金太郎

そういえば、所得に合格したのって?

九頭九頭

2009年だから平成21年かな?
もうそんなに経ったか(笑)

来年以降のために覚えておいていただきたいこと

まず、全体的な感想としては

いつも以上に手が止まる時間が長くなってしまう試験だったのでは?
というところです。

計算をベースにした答案の作成やあまりにも想定外すぎる問題。
こういった問題を緊張感のある本番でやられると慎重になったり頭が真っ白になっていつも以上に時間の経過が早く感じるという現象は本番ならではの怖さと言えます。

こういった全くの想定外のことが起こるのが税理士試験

ということを来年も受験することが決まっている方には覚えておいて欲しいのです。
今回は所得でしたが来年は別の科目でこういったことが起きても不思議ではありません。

そして、試験の結果にはメンタル的な要素は確実に絡んできますので、今回の試験を機に、本番では何が起こるか分からないから絶対に平常心を崩してはならない、ということを知っていただきたいなと思います。

九頭九頭

私も法人税で問題用紙22枚と黒板に書かれたときは驚きました

税 金太郎税 金太郎

教室内で「は?」という声が聞こえて来たとか?

九頭九頭

そうそう、見知らぬ人が小声で言ってたよ(笑)

また、問題用紙と解答速報を照らし合わせて

九頭九頭

試験当時の自分の状態だったらこういう順番でこういう風に答案を作れば試験時の自分のベスト答案が作れたな

というシミュレーションもしてほしいと思います。

九頭九頭

私は5科目目の法人税法に合格した時、本番の1~2週間前にこれをやりました
結果的に試験に活きたと思います

なので、来年受験する方は今年の問題を機に

・本番では何が起きてもおかしくないのだから慌てない、常に平常心
・こういった予想外の事態でどのように対処するのか?のシミュレーション

をすると来年に活きると思います。

九頭九頭

所得に合格してても
「受かったから良いや」で済まさずにこの経験を他科目で活用しましょう

さて、次は問題の中身に触れていきましょう。

受験された方には言うまでもありませんが今年の問題は

・問1…給与所得控除と特定支出控除
・問2…競馬の払戻金と馬券の購入費用についての課税関係

でしたね?

九頭九頭

まずは問1から行きましょう!!

問1について

給与所得控除額

趣旨

問題文に「制度の概要を」と書かれていますので給与所得控除額が何か?ということを述べた後に金額を書いていく解答速報通りの答案がベストと言えます。

ここは作文になるでしょうが流石に解答速報通りのことを完璧に書くのは困難ではないでしょうか?

必要経費の代わりに概算経費として収入金額から差し引かれるものが給与所得控除額

ということが書ければいいのでは?
と思われます。

九頭九頭

ちょっと採点者の気持ちになって考えてみましょう

採点者は一人当たりの採点にかけられる時間はそんなにないでしょう。
そのため

九頭九頭

こんな感じの事が書けていたらOK

とか

九頭九頭

文中にこのキーワードが含まれていて意味が分かればOK

と言った感じで基準を設けて公平性を保った採点をすると思われます。
そう考えると「概算経費として差し引かれるもの」といったことを解答することが一番大事かなと感じました。

給与所得控除額について

次に給与所得控除額の具体的な金額についてですが、これを見た率直な疑問が

九頭九頭

給与所得控除額の具体的な算式って覚えている人どのくらいいるの?

という疑問でした。

九頭九頭

私の周りの所得税法の合格者は私を含めて覚えている人は誰もいなかったと思います

そう考えるとここは満点は困難な箇所だと予想されます。
ただ

・最低55万円
・最大195万円

この2つは書けると思いますのでこの2つを書けただけでも答案としては十分ではないでしょうか?

九頭九頭

ここも採点者の立場に立って考えてみましょう

給与所得控除額で採点をする場合、どのように採点するか?
算式一つ辺りに得点、という方式ではないでしょうか?

しかし、先ほども述べましたが正答率が最も高いことが予想されるのが55万円と195万円部分。
ということを考えるとこの2か所は他より点数が高くなってもおかしくないと思われます。

というわけで、問1は

・給与所得控除額は収入金額から引かれる概算経費
・給与所得控除額の最低額(55万円)と最大額(195万円)

辺りが合格のために解答したい部分ではないでしょうか?

特定支出控除の特例

これに関しては理論の範囲内ですよね?

九頭九頭

私は覚えていた記憶があるもので(間違っていたらすいません)

となれば、べた書きで取れるところは1点でも多く取りたいのがこの部分です。

問題を見た感じではこの部分の得点が理論で合格点を取るためには最重要項目ではないかな?
と感じました。

九頭九頭

ここは覚えた理論が解答の中心になると思われるので説明は短めです

では、問2に行きましょう。

問2について

第2問は競馬の払戻金と経費の課税関係についてですね。
取り扱いについては国税庁のHPにも書いてあったので見ていた方は有利だったかもしれませんね。

こちら → 国税庁HP

こちらの問題では結論を簡単に言うと

購入しているのはG1レースのみで、実績は損失であることから一時所得

ということだそうですが

九頭九頭

試験中にこんな結論出せる人っています??

というのが率直な感想ですね。
言われれば確かに納得ですが、本試験でしかも始まって問題をサッと読んだ時に

九頭九頭

何か理論は厄介そうだな…

という印象を持っている中でこれですから精神的に不安定になっていても仕方がありませんし、計算から解く方は試験時間の半分を過ぎた中でこの問題と向き合うわけです。

九頭九頭

試験開始時にある程度問題を読んでいると思いますが、それでも結構しんどいですよね?

そう考えればこの問題は読んだ時に

九頭九頭

一時か雑のどちらかになるってオチだろ

と思えればそれだけで合格答案にかなり近づけるのではないでしょうか?
おそらく受験生の中には

九頭九頭

競馬の払戻金だから一時所得、以上!

と一時所得しか解答できていない方や

九頭九頭

一時と見せかけて雑ってオチだろ!
騙されないぜ!!

と思って雑所得しか解答できない方もいることが予想されるので

一時と雑、2つの可能性を想定出来て、2つの所得金額を解答できればそれだけで十分ではないかな?と思いました。

それに加えて

九頭九頭

結局どちらになるか
を解答しないといけないのかな?

と思って「一時所得」と解答できた方はかなり大きいかもしれませんね。
というわけで問2のカギは

一時所得と雑所得、2つが想定できることとそれぞれの所得金額が出せる事

が重要になると思いました。

最後に

今回の問題は想定外すぎて戸惑った方も多かったと思います。
ですが、競馬の払戻金の問題に関してとても学びの多い問題ではないかと思います。

この件は私が税理士試験の受験生だったころにも問題になりましたが何が凄いか?というと

試験監督

競馬の払戻金って一時所得でしょ?
常識じゃん

と、税務の世界で働いている方や税理士試験受験生の多くが思っていたところに

条件次第では雑所得にもなりうる

という新たな常識を生み出したことにあります。
なぜ、こういったことが出来たのか?というとこの件を担当した税理士先生が

・なぜ、競馬の払戻金は一時所得になるのか?
・これは一般的なケースとは異なるのではないか?

ということを考えた結果、このような結論が出たのです。

私が尊敬する法人税法でお世話になった講師の先生は

知識は活用してこそ価値のあるものになる

というお話をされています。
つまり、知識ではなく知識を使いこなせる知恵が大事、ということです。

試験監督

税理士試験にそれって関係あるの?

と思われるかもしれませんが、それが出来る受験生が安定して合格できる受験生ではないか?と私自身の経験から思います。

というのも私は4年間何も合格できなかった時期がありますが、合格できなかったときと合格できる様になった時期との一番の違いはこの知識を活用できるようになったところです。
これが出来るようになったことで、今までは

九頭九頭

え?今年の試験問題って基礎的な項目の出題だったの??どこがだ!

という状態だったのが

九頭九頭

確かに税理士試験の問題って基礎的な取り扱いの問題が多いな
今まで気が付かなかった…

と思えるようになりました。

では、どうすれば知識を活用できるようになるか?

それは基礎を身に付けることです

税法は基礎を身に付けることが全てと5科目合格した今なら自信を持って言えます。
このことを分かっている方は多いのですが

九頭九頭

じゃあ、基礎って何?

と、聞かれると解答できない、と言う方が多いと感じています。
なので、

私が考える税法の基礎とは何か?
基礎を身に付けるための勉強法とは?

をこちらに執筆いたしました。
興味のある方は是非読んでみてください。

こちら → 私の税理士試験勉強法