税務アフィリエイターの九頭(くず)です。
調べものがあって国税庁のHPを見ていたらこんな質疑応答事例が!
所得区分を問う質疑応答です。
所得税法の試験での出題されるかは分かりませんが、受験される方は腕試しや休憩中の息抜き感覚で挑んでみてください。
それでは問題です
X社に勤務するAは、一般財団法人B(以下「B財団」といいます。)が主催するマラソン大会に出場し、大会記録を更新して1位に入賞した結果、
B財団から①1位入賞賞金及び②記録更新賞金を受領し、また、一般社団法人C(以下「C社団」といいます。)から記録を更新した選手に対して支払われる③褒賞金を受領しました。
Aが受領したこれらの賞金等について、所得区分はどのようになりますか。
引用:https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shotoku/02/51.htm
今年、東京マラソンで大迫傑選手が日本新記録を出しました。
その際に注目が集まったのが日本新記録を出した際にもらえる賞金1億円
この事例で言うと③に当たるものです。
しかし、東京マラソンは10位まで賞金がもらえるので①に該当する入賞賞金をもらい(大迫選手の順位は4位なのでこの事例とは少し異なりますが)②の記録更新賞金やそれに準ずるものも一緒にもらっている可能性もあるのでこの事例は正に時事ネタと言えます。
さて、この所得区分、分かりますか?
答えはこちらです。
①の1位入賞賞金及び②の記録更新賞金は雑所得、③の褒賞金は一時所得に該当します。
まず、AはX社に勤務する会社員であってプロのマラソンランナーではないので事業所得に該当しないことは明白ですね。
となると、雑所得か一時所得になることが分かります。
そして、細かい根拠としては以下になります。
Aは、B財団が主催するマラソン大会に出場し、大会記録を更新して1位入賞という成績を収めた結果、①1位入賞賞金及び②記録更新賞金の支払を受けています。これらの賞金は、B財団が主催するマラソン大会で入賞等をしたことに伴いB財団から支払われるものであることを踏まえると、B財団に対する役務の対価又はその役務に付随して取得するものと認められることから一時所得には該当せず、雑所得に該当します。
一方、③褒賞金については、C社団が記録を更新した選手に対し褒賞するために支払われるものであることから、C社団に対する役務の対価として支払われたものとは言えず、また、継続して支給されるものでもないことから、一時所得に該当します。引用:https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shotoku/02/51.htm
見た時は全部一時所得だと思ってしまったので、本試験にこのような問題が出たら正答率が低いかもしれませんね。
Aがプロランナーなら全額事業所得で問題ないと思いますが、プロランナーではないとこのように、どこからもらえるか?よって所得区分が分かれることに注意ですね。
ちなみに実業団に所属している選手は会社員ですので、今回賞金をゲットしたAは実業団の中で最強クラスの実力を持つランナーだと思えばイメージしやすいかもしれませんね。
そして、昨年行われたオリンピックの出場権をかけたマラソングランドチャンピオンシップ(MGC)に参加された選手のほとんどは実業団所属選手ですので、Aと同じ立場の方々ということになります。
今回は所得区分の問題でしたが源泉所得税はどうなるのか?なども考えてみると良い学習になるのではないでしょうか?
また何か学習になりそうなものを見つけたら紹介したいと思います。