【所得税法】 なぜ贈与した棚卸資産は総収入金額に?

税務アフィリエイターの九頭(くず)です。
久々の腕試しでヤフー知恵袋の所得税法の質問を見てみたらこのようなものを発見しました。

税理士試験所得税法 棚卸資産等の贈与等について教えてください

次の事由により、居住者の有する棚卸資産の移転があった場合には、そのそれぞれに掲げる金額に相当する金額は、その者のその事由が生じた日の属する年分の事業所得の金額又は雑所得の金額の計算上、総収入金額に算入する。

(1)…..

(2)著しく低い価額の対価による譲渡
その対価の額とその譲渡の時におけるその棚卸資産の価額との差額のうち実質的に贈与をしたと認められる金額

と書かれているのですが「実質的に贈与をしたと認められる金額」というのは具体的にどういうことなのでしょうか?
対価の額と棚卸資産の価額との差額を贈与とみなす、というふうに考えればいいのでしょうか?

もう一つの質問は
何の為に贈与したものを総収入金額に含めるのでしょうか?

https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q13144987008?__ysp=56iO55CG5aOr6Kmm6aiT44CA5omA5b6X

ここで出て来た質問は2つ。

①実質的に贈与をしたと認められる金額とは?
②何の為に贈与したものを総収入金額に含めるのか?

の2点です。

①については通達で

39-1 法第39条又は第40条《たな卸資産の贈与等の場合の総収入金額算入》に規定する消費又は贈与、遺贈若しくは譲渡の時における資産の価額に相当する金額は、その消費等をした資産がその消費等をした者の販売用の資産であるときは、当該消費等の時におけるその者の通常他に販売する価額により、その他の資産であるときは、当該消費等の時における通常売買される価額による。

39-2 事業を営む者が法第39条若しくは第40条に規定する棚卸資産を自己の家事のために消費した場合又は同条第1項第1号に規定する贈与若しくは遺贈をした場合において、当該棚卸資産の取得価額以上の金額をもってその備え付ける帳簿に所定の記載を行い、これを事業所得の金額の計算上総収入金額に算入しているときは、当該算入している金額が、39-1に定める価額に比し著しく低額(おおむね70%未満)でない限り、39-1にかかわらず、これを認める。

40-3 法第40条第1項第2号に規定する「実質的に贈与をしたと認められる金額」とは、同項に規定する棚卸資産の39-1に定める価額とその譲渡の対価の額との差額に相当する金額をいうのであるが、当該棚卸資産の39-1に定める価額のおおむね70%に相当する金額からその対価の額を控除した金額として差し支えない。

https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/06/01.htm

これらの通達から「通常の販売価格の70%分から実際に受け取った対価との差額」ということが分かりますのでここはこれで良いとして、もう一つの

②何の為に贈与したものを総収入金額に含めるのか?

を九頭なりの考えをお伝えしたいと思います。
ちなみにこの質問の「贈与」には

・贈与
・自家消費
・定額譲渡の「実質的に贈与したと認められる金額」

のどれも含まれているものと思って回答しています。

九頭九頭

この手のモノを無駄に考えるのが好きな人間なもので

完全に九頭のオリジナルな考えですので、「なんか分かりにくい」「ちょっと違うんじゃない?」と言う方はあまり真剣に読まないでください(笑)

流れで言うとこのような感じではないかな?
と思っています。

①贈与した棚卸資産の取得価額を売上原価に載せるのっておかしくないか?
②じゃあ、売上原価から除外しよう!金額は販売価格ベースの方が楽だから販売価格ベースにするか!
③販売価格ベースで計算したのなら必要経費から差し引くよりは総収入金額に計上した方が自然じゃないの?

といった理由で総収入金額に含めているのかな?
と考えていました。

一番の目的は売上原価に算入させないこと

贈与した棚卸資産を総収入金額に入れる一番の目的は贈与した棚卸資産を売上原価に含めないことだと考えました。

つまり、経費の取り消しのためといったところです。

九頭九頭

贈与や自家消費した時点で総収入を得るため直接に要した費用ではありませんので

実際

・贈与、自家消費…売っていないので経費にするのはおかしい
・低額譲渡…赤字でも良いというスタンスで売っているので営利目的とは言えない

ので、これらの仕入れを売上原価として経費にすること自体がおかしいと思いました。

上にある通達の「39-2」を見ていると販売価格の70%程度で、取得価額以上の金額を総収入金額に入れれば良いので総収入金額に入れる金額は取得価額と同じくらいの金額で赤字の原因にならなければ良いということが分かります。

取得価額と同じくらいの金額を総収入金額に計上する=取得価額を原価から差し引く

ことと同じ意味ですよね。
そういったところからも原価の差し引きが総収入金額に計上する目的でしょう。

しかし、それなら総収入金額に計上せずに贈与した棚卸資産分の必要経費の取り消しをすればいいのでは?
という考えも同時に浮かびます。

九頭九頭

八百屋が親戚にスイカを送ったらその送ったスイカの取得価額をそのまま引けば良いじゃん
という考えです

それに関しても九頭なりに考えました。

必要経費の取り消しにしない理由はこちら

計算の簡便性

取得価額ベースで計算するより収入金額ベースで計算した方が簡便的だと判断したのではないでしょうか?

八百屋や肉屋などで想像してみましょう。

棚卸資産は資産の種類ごとに商品有高帳に記帳し、先入先出法や総平均法などで1個当たりの簿価を算出することになります。

九頭九頭

商品有高帳は簿記3級などでおなじみですね

きっと八百屋などはその日によって仕入れ値が異なるでしょう。

そして、贈与の一種である自家消費は日常的に何度も行われるでしょう。
八百屋が家族に野菜を食べさせるのにスーパーに買いに行くわけないですよね。

そうなると、自家消費の度に有高帳をチェックして金額をその都度確認しないといけません。
しかもその日によって仕入れ値が異なれば、今日と明日では同じ食べ物を同じ量の自家消費をしても自家消費金額が変わってきます。

しかも、所得税の納税者の中にはいわゆるどんぶり勘定の方も多いでしょう。
そうなると有高帳を付けていない可能性もあるので取得価額ベースの計算が困難です。
困難というよりは不可能です。

九頭九頭

感覚的にいつも○○円位で仕入れてるよ!というのは分かるでしょうが1円単位までの正確な把握は不可能ではないでしょうか?

しかし、通常の販売価格なら値札を見れば一発で分かります。
商品有高帳で1個当たりの簿価を確認する必要がありません。

そういった簡便性も考慮されているのかな
と九頭は考えています。

こんな感じで総収入金額に含めているのでは?
と考えていました。

今回は最初にも書きましたが九頭の完全オリジナルな考えですので、「よく分からん」と言う方はスルーしていただいて構いませんが、分かりやすく感じた方は今後の学習に役立てていただければと思います。

九頭九頭

こんな風に分からないものに関しては色々な考えを巡らせながら頭の中に定着させていました。
という学習例です